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2011/12/14

カナダ仕様コンポを日本で使えるようにする(その5)

メイン基板の高周波部で使用されているPLLデバイスは三洋製LC72131というICで、ワンチップのPLL周波数シンセサイザー用ICでAM/FMラジオ用途で設計されている。おそらく多くのこの種の受信機に採用されているのだろう。これならおそらく、CPU側の設定が表示周波数どおり切り替わっていれば何もせずに動作するはずだ。

調整が必要なのは、ローカルオシレーターのVCOと高周波部の調整。VCOが何とかなれば目的は達成できる。

 

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サービスマニュアルにしたがってカバーをあけ、上部のカセットメカユニットを取り外したところ。正面パネルから見て、右側にある基板がメイン基板。コントローラー用のCPUやFM/AM高周波部が搭載されている。

まず、メイン基板の設定を日本国内仕様に変更する。「その4」で調べた内容に基づき、R360を820Ωから22kΩへ変更。

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これで、設定は「日本国内仕様」に固定された。

高周波部はAM部とFM部の2つに分かれている。AM部は直接基板に取り付けられているが、FM部はシールドケース内のサブ基板となっていて、回路図によると、この中に高周波増幅部と第1局発であるVCOが内蔵されている。高周波部の出力が10.7MHzの中間周波出力となるわけだ。高周波増幅は1段で入出力の同調回路のコンデンサーとVCOの発振回路のコンデンサーがKVM27という可変容量ダイオードになっており、PLLの出力でトラッキングが取られるようになっている。この高周波ユニット(ENV17290G1Yといういかにも松下製のパーツ番号))ごと国内仕様のものに交換できれば、それで完了ということになるが、入手は不可能だろう。

VCOの出力はオリジナル(カナダ仕様) 88~108MHz-10.7MHz=77.3MHz~97.3MHzということになる。

このとき、VCO電圧を測定してみると2.6Vから9.1Vだった。つまりこの電圧範囲がフェーズロック可能なわけであるので、国内FM周波数を76MHzから88MHzとして、VCO出力65.3MHz~77.3MHzということになる。高周波部とVCO発振回路のコンデンサーの容量を足してやって、周波数を下げることで目的の改造ができるわけだが、カナダ仕様に比べ、周波数の低いほうが伸びているため、可変容量ダイオードの変化幅に対し、国内用では周波数範囲が厳しくなる可能性がある。

実際にはカットアンドトライで調整をおこなった。まず、メイン基板から高周波ユニットを取り外し、シールドケースをはずしてメイン基板に取り付け、調整しながら改造を行うことにする。

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高周波ユニット(下がシールドケースをはずしたところ)

なんか部品が少ないなーと思ったら、同調回路と発振回路のタンクコイルがないような・・・

続く

お断り)この一連のトピックは個人的な経験を説明したものであり、改造および方法そのものを説明する意図はありません。このトピック内の改造結果の責任(記事に使用した個体に関する)はすべて私本人に帰するものであります。このトピックを参考にして改造または類似の行為を第3者が行った結果については、一切の責任を負いません。

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