SONY CRF-200を再生する (その1)
カナダではFM放送を聴くのに向こうで買ったPanasonic製のミニコンポやYAMAHAのホームシアターに内蔵されているFMチューナーをよく利用していました。
これらは日本に持って帰ってきたのですが、FM放送はバンドがまったく違い、
AM放送はバンドは同じですが10kHZステップでまったく使い物になりません。いざラジオを聴こうと思って探したのですが、
古いラジカセなどはすでに処分してしまっていました。
そういえば実家で父が使っていたラジオを10年位前にもらってきたのを思い出しました。
屋根裏で長い間眠っていたSONYのCRF-200です。短波放送を聴くためのいわゆるBCLラジオですが、FMの音がとてもよく、
父もほとんどFM放送しか聴いていませんでした。筐体は当時では当たり前だった合板製のためもあり、とても音がよいのです。
CRF-200は30年以上前にSONYから販売されていた受信機で当時79,800円で販売されていた、かなり本格的なモデルです。
SONY CRF-200 シリアル番号から1972年製か。
「DOUBLE CONVERSION」と表示されたエンブレムはなんとアルミダイカスト!
屋根裏から持ってきて、電源を入れてみると、周波数目盛板を照らす豆電球が光り、FM放送が聞こえるではありませんか。
中波も短波も一応聞こえる。と思ったのもつかの間、FMのチューニングができなくなってしまいました。目盛が動かなくなってしまいました。
これをきっかけに、このCRF-200の再生作業が始まったのでした。
バリコンと目盛板をつないでいる糸が外れたのかと思い、開けてみようと思いましたが、裏カバーは簡単に外れるものの、
内部ユニットを外に出す方法がわかりません。表パネルは外側からは外れないのです。無理をして壊したくないので、何か情報はないかと、
Webを探してみたところ、サービスマニュアルが海外のサイトでPDFで有料配布されているのをいくつも見つけました。ただし、海外版です。
日本国内ではすべてメーカー修理なので、この種のマニュアルは外部にはほとんど出ていないのでしょうが、
海外は現地代理店などで修理しなければならないので海外用のサービスマニュアルがしっかりと作られ、
それがマニュアルを集めて有料で配布する「業者」の手に入ったものと思われます。
その中でUser-Manuals.comというそのものずばりのウエブサイトにCRF-200の北米向けCRF-160というモデルがあるのを見つけました。
価格は14.99ドル。これならだまされても諦めがつく金額です。オンライン通販の要領で発注しましたが、
PDFだからすぐダウンロードできるのかと思いきや、説明にもあるのですが、すぐにはダウンロードできず、
半日ほど経ってからやっとダウンロードできました。オリジナルから何度もコピーしたようで、あまり画質がよくなく、
回路図などわかりにくいところもありましたが、分解方法や調整方法などは完全に読めるので、問題ありません。
他のサイトには30ドルくらいのものもありましたが、もう少し品質がよいのかもしれません。
内部のユニットを取り出してみてみると、なんと、FM用のチューニングの糸掛けプーリーのひとつが縦にパックリと割れていました。
左のサービスマニュアルの糸掛け図、左端のアイドラープーリーです。
直径役10mmくらいのHDPE製のプーリーですが、もともとターンがきつくてかなり力がかかっていたため、
何年も動かさずに放置されていたため、割れてしまったようです。これはちょっと困りました。もちろん同じ部品は入手できないし、
接着も難しそう。
(マニュアルにはダイアルの軸に3ターン、バリコンのプーリーに2ターンなど、詳しく記載されている)
パックリと割れてしまったプーリー。(HDPE製)
HDPEでも接着できるというエラストマー付の瞬間接着剤を使って接着をためしてみましたが、
糸のかかる部分から割れてしまっているため接着してもうまく回りません。いろいろ探し回った挙句、
偶然秋葉原のプラモデル店で田宮から販売されているプーリーセットというのを見つけました。直径も、軸径もほぼ同じで使えそう。ところが、
これはLDPE製で鉄製のシャフトに差し込むと摩擦が大きくて回転しません。
何種類かあったうちから、左の写真の一番左のものに、割れたプーリーから、
軸受けの部分(軸受けだけは割れずに残っていた)を削り取って、LDPEのプーリーの軸受けとしてはめ込み、
エラストマー付の瞬間接着剤で接着してみたところ、うまく回転するようになりました。ただし、
同じ場所ではテンションがきつくて厳しそうなので、同じプーリーを使用している右側のプーリーと入れ替えました。結果は良好。
うまく回るようになりました。
交換したプーリー。すぐ右上にチューニングつまみがある。
ここにもともと付いていたプーリーを左側に持って行った。
これがきっかけでオーバーホールが始まったのですが、実はカバーを開けてみてわかった別の問題があり、
CRF-200レストア大作戦は更なる展開へと進みます。
その2へ続く
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