二宮尊徳の茄子
私の自宅は神奈川県小田原市の近くにあります。近くに二宮尊徳の生家といわれる所がありこれを記念して二宮尊徳記念館として、生涯の功績や遺品等が展示されている博物館があります。もう大分前なのであまり正確には覚えていませんが、この展示の中で尊徳の功績を説明するアニメがありました。このアニメの中で尊徳が藩の命を受けて栃木県宇都宮付近の村の復興にあたるのですが、そこで食事に出た茄子が初夏にもかかわらず秋茄子のようにおいしいことから、この年の飢饉を予測し粟や稗など冷害に強い作物を植えさせてその年起きた天保の大飢饉に際しても一人の餓死者も村から出さなかったというくだりがありました。茄子好きの私は、その茄子とは一体どんな味だったのだろうとかねがね思っていたのですが、こちらで庭でナスを作ってみてわかりました。今年の夏、私の住んでいるトロント周辺は例年に比べてかなり冷夏で、7月下旬から8月下旬にかけてずっと気温が低く、最高気温が22,3度という日も何日かありました。今年の5月頃から日本から持ってきた種を使って植えた茄子も成長が悪く、それでもなんとか実が付いたのですが、なかなか大きくなりません。先日やっといくつかが食べられそうな大きさになったので、漬物にしたり天ぷらにしたりして食べてみたのですが、おそらく、二宮尊徳が宇都宮で飢饉の年に食べたナスは、こんな味がしたのではないかと、ふと感じたのです。
つまり、種が極めて小さく、実の部分がきめ細かく柔らかいのです。気温が低いので種が成長しない、なかなか大きくならないので少し小ぶりで柔らかい。味もちょっと淡白かもしれません。すなわち「未熟な茄子」なのです。でも、とてもおいしく感じました。こちらでも日本野菜を買うこともできますが、それとも少しちがうカナダで涼しい夏に取れた日本の茄子の味でした。
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