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2005/03/20

回転ドア

安全には2つの考え方があって、ひとつは危険なものを作らない。もうひとつは危険なものに近づかない。この2つは非常に重要です。
もう40年以上も前のことになりますが、もうどこだったかも記憶にはありませんが母に手を引かれて行った建物の入り口に回転ドアがあり、これはとても危ないものだから、子供だけでは使ってはいけない、自分と一緒のときは絶対に手を離さないようにと何度も言われた記憶があります。何故母がそう思うようになったのか今は知る由もありませんが、昔から危ないもので、ひとつ間違うと怪我をすることがあるという認識はあったのでしょう。おそらく、怪我をした人もいたのだろうと思います。そう刷り込まれた私は、いつも回転ドアを使うたびに母の注意する声を思い出し、無意識のうちに細心の注意を払うのでした。昨年の夏、娘にせがまれて六本木ヒルズに行きました。確かに、あの回転ドアは動きが早すぎると思いました。しかも中に入るとスピードが上がる。考え様によってはよくできているといえますが、子供や老人には予測がつかない動きともいえます。何年か前まで、機器開発の仕事をしていましたが、仕事の半分は「安全な物にする」という仕事でした。人間はどんなことをするかわからない、どんな使い方をするかわからない。火に飛び込む人はいないけど、閉まりかけたドアに飛び込む人はいるのです。動いているものを見ると触りたくなる、手が挟まれるとは思わない。禅問答のような感じもしますが、そこにはいくつかの基準があって、無駄とも思えるいろいろな対策が安全を確保しています。物作りの立場としては、それでもいつも心配でした。
今思い返してみると自分が母のように子供たちに安全に対する刷り込みをちゃんとしていたか、全く自信がありません。六本木ヒルズの事故は不幸にも「危険なものを作らない」「危険なものに近づかない」の両方に配慮が不足していた悲しい出来事だったのだと思わざるを得ないのです。

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